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ブルーバブル

HLA と薬剤の副作用について

HLA の型(アリル)と薬物の副作用の発現には深い関連性が認められています。

近年、特定の HLA アリルと一部の薬物の組み合わせにより、重篤な薬物毒性を引き起こすリスクがあることが次々と明らかになってきました。

このことから、HLA アリルをバイオマーカーとして用いて副作用の予測や治療の最適化を目指す研究が進められています。

 


HLA アリルと薬剤副作用の一例;


  薬:カルバマゼピン (Carbamazepine)

アリル:HLA-A*31:01 / HLA-B*15:02 / HLA-B*15:11

カルバマゼピンは世界中でてんかんの治療薬として使われていますが、副作用である薬疹の発症率が高いことが問題となっています。薬疹発症例を用いたゲノムワイド関連解析などの研究により、上記3つのアリルの内1つでも持つ患者は、同型を持たない患者に比べてカルバマゼピンによる薬疹が起こりやすいことが報告されました。

また、薬疹が起こりやすいだけでなく重症薬疹を引き起こす可能性も高いことが判明しています。

 


  薬:アバカビル (Abacavir)

アリル:HLA-B*57:01

アバカビルはエイズ治療薬として使われていますが、HLA-B*57:01 を保有する患者では過敏症反応(発疹、発熱、呼吸困難など)が有意に発症することが示されています。
そのため、欧米では投与前に HLA-B*57:01 スクリーニングをすることが推奨されています。
一方で、日本人の HLA-B*57:01 アリル頻度は 0.005~0.012%と低く、充分に認識されてい
ないのが現状です。

引用
1. OMIM
2. Saag M., Balu R., Phillips E., Brachman P., Martorell C., Burman W., Stancil B.,
Mosteller M., Brothers C., Wannamaker P., Hughes A., Sutherland-Phillips D., Mallal
S., Shaefer M., Study of Hypersensitivity to Abacavir and Pharmacogenetic Evaluation
Study Team, Clin. Infect. Dis., 46, 1111-1118 (2008).

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